タローはもともと、地域猫として生きていた猫です。私たちが引っ越す前から他の家族の猫と一緒に家の敷地に住み着いていました。ご飯を食べてはまたどこかへ出かけていく、そんな自由な日々を過ごしていました。
やがて私たちの暮らしの一部となり、必要な医療や食事のサポートを受けながらも、彼の“外で生きる本能”を尊重して、出入り自由のスタイルを続けてきました。
腎臓の再悪化と再び訪れた危機
このブログでも以前書いたように、タローは腎臓を患っています。人間の食べ物や塩分の強いものは命取りになる危険性があるため、普段は注意していたのですが――
最近になって再び体調が悪化し、足元はふらつき、首も力なく垂れ下がり、食欲まで落ちてしまいました。
病院で診てもらったところ、以前は変化がなかった体重が、今回は大きく減っていました。獣医師も「かなり危険な状態」との見解。外で何かを食べていた可能性も否定できず、改めて“自由”の代償の重さを感じました。

「完全にうちの子に」決意のタイミング
具合が悪くなるたびに、私は「もうお別れかもしれない」と覚悟をしてきました。でも、今回は違います。
16歳を迎えるタロー。彼の体力はもう、外の世界の過酷さに耐えられるものではありません。幸い、トイレの使い方も覚えました。玄関の開け閉めに気をつければ、家の中で安全に暮らすことができます。
家族とも話し合い、猫に詳しい友人の助言も受けながら、ついにタローを「完全に家の子」として迎え入れる決断をしました。

新しい暮らしのはじまり
今日で、タローが家の中だけで過ごすようになって3日目。ときおり外を恋しがるように玄関の前で座ることもありますが、静かに過ごしてくれています。少しずつ食欲も戻り始め、ほんのわずかながら表情にも力が戻ってきたような気がします。
これまで自由に生きてきたタロー。私たちはその自由を奪うような気がして、なかなか踏み出せなかった「家猫宣言」。でも今なら胸を張って言えます。
これからは、安心して余生を過ごしてほしい。
タローと私たちの、ちょっと特別な第二の暮らしが、静かに始まっています。
